【Switch】『ケイデンス・オブ・ハイラル』を遊んだ感想&レビュー【クリア済】
『ケイデンス・オブ・ハイラル』を購入しました。

正式なタイトルは『ケイデンス・オブ・ハイラル: クリプト・オブ・ネクロダンサー feat.ゼルダの伝説』です。ジャンルはローグライクリズムアクション。
お値段は税込2980円。有料DLCもいくつか配信されています。
同スタジオが出しているゲームに『クリプト・オブ・ネクロダンサー』という作品がありまして、一部のキャラクターの他にメインシステムはそちらから持ち込まれているようです。
私はネクロダンサーシリーズを触るのが本作で初めて。当シリーズはローグライクにリズムゲーム要素を追加した独特なジャンルとなっています。
基本となるストーリーモードをクリアすることで、ダンジョンモード(ダンジョンのみをどんどんクリアしていくモード)とオクターヴォ・オデッセイ(敵キャラ視点のストーリー)といった追加モードが解禁されます。また、有料DLC「新たなる挑戦者たち」もしくはシーズンパスを購入済みならオールキャラモード(ダンジョンモードを階層ごとに操作キャラが変わる形式で挑む)が追加されます。
謎解きは岩を動かす倉庫番パズル形式のものが多く、ゼルダシリーズ本編みたいにダンジョン全体が1つの装置になっているような複雑な物は出てきません。その代わりに特殊な操作性と敵の多さに手こずりやすく戦闘面での難易度がやや高めです。
ストーリーモードは1データ辺り2~5時間ぐらいでクリアできる手軽な作り。サクッと遊ぶにはいいゲームで周回しても楽しめると思います。

プレイヤーキャラ含めフィールド上にいるキャラクターはターン毎に移動・攻撃を行います。ターン経過はBGMと連動していて1ビート毎に1ターン進行し、リズムに合わせてボタンを押さないとプレイヤーキャラは行動できない仕様となっています。
このリズムゲーム要素が楽しいところであり難易度を上げている原因。マップ上の敵の位置を確認しつつ移動したい…けれども敵も自分も音楽に合わせて動く以上、瞬時に何をするか判断してその通りに操作する必要が出てきて忙しいです。
タイミングがズレたり押し忘れるとミス判定となり1ターン分何もできず無駄にしてしまいます…。判定自体はかなり甘めですが、マップの切り替えでBGMが急に変わったり・罠でテンポが変わったり・攻撃でBGMを聞こえなくしてきたりと、このシステムならではの妨害もあって油断できません。
しかしながら、良質なBGMに合わせて操作しているうちにノリノリになってきて不思議とのめり込んでくる魅力がこのゲームにはあります。ローグライクゲームとリズムゲームがいい塩梅で配合されていることにより、全く新しい面白味が生まれていて難しいけれども楽しい作品に仕上がっています。
曲に合わせて反射でボタンを押すだけではダメで、目から送られてくる情報と耳から送られてくるBGMを脳でしっかり処理して・最後に手を動かす所までを全て1ビートの合間にやらないといけないという、この忙しさが一番楽しい所。音楽にノリながらも色々考えているという状況は中々味わえられない感覚ですし、忙しいからこそ順調に対処できている時のグルーヴ感が気持ちいいです。
ただし、ローグライクらしい楽しさに関しては音ゲー要素によって打ち消されている部分があることは否めません。特にじっくり考えるのが楽しいんだ!という人だとその考え方が真っ向から否定されているので合わないかと。
運次第で致命的なアクシデントが起こるということがほぼない代わりに、油断して敵に囲まれたりした後にどうにかしようと思っても思考が間に合わずやられてしまう場面が多いように感じます。なので危機がギリギリまで迫った状況での対処以前に、予め危機に陥らないようにノリながら冷静に行動し続ける事が重要です。
だからといって常に音楽にノッていないといけないわけではなく、画面上にいる敵を全滅させると移動するまで音ゲーから開放されるので安息タイムもあります。マップ上に謎解きギミックがある時は殲滅してから謎解きをするのがセオリー。
流れるBGMは過去のゼル伝で使われたもののアレンジがほとんど。草原エリアで流れるメインテーマ・砂漠エリアで流れるゲルドの谷など曲数は少ないもののノレるアレンジになっていて、演出面でも敵を全絶させると静かになったり・お店の近くでは店主の歌声が聞こえたりと手が込んでいます。
ちなみに、音ゲーが苦手だけどローグライクゲームとして遊びたい方用に「ノービートモード」も搭載されています。でも元々が音楽に合わせる前提で作られているバランスで音ゲー要素を無くすと難易度がガン下がりしてただのぬるいローグライク風ゼルダになってしまうので、最初からノービートにしてしまうのはもったいないです。
攻撃は敵に向かって移動することで自動で行ってくれますが、敵の動きを見て構えていない時に攻撃しないと反撃をもらってしまいます。
この反撃の構えも慌てていると見過ごしやすく・モンスターの種類によって行動パターンが大きく異なるので、しっかりと画面を見て近づいていいか判断する必要があります。敵のパターンを把握していないといけないという意味では知識ゲーではあります。
特にリンクが初期に持っている剣は前1マスにしか攻撃できないため反撃をもらいやすいです…。前2マス先に攻撃できるスピアや前側3×1マスを同時に攻撃できるブロートソードが手に入った後はそっちの方を使っていました。
剣や盾は初期から持てますが、今作のアイテムは多くがミニダンジョンの宝箱から入手できます。探索時に使うアイテムを集めるためにも見かけたミニダンジョンは片っ端からクリアしていったほうがいいです。
入手したアイテムは+ボタンで出せるインベントリでABXYボタンに登録、フィールドで登録したボタンを押すと使用。2Dゼルダでよくある使い方です。
アイテムにはバクダン・弓矢・ロックちょうのはね・ソマリアのつえなどゼルダの伝説シリーズに出てくるものが多数ですが、「○○のまきもの」などシレンとか他のローグライクゲーに出てきがちな使い切りで特殊な効果を発動するタイプのアイテムも出てきます。
スコップ等のアイテムは剣と同じように発動条件が揃えば自動で使ってくれる他、「使用時にルピーが出ることがあるスコップ」とか「隠れているアイテムが見えるようになるたいまつ」など同じジャンルの道具でも特殊な効果を持つものもあります。中にはガラス製ですぐ壊れるというものも…。
ちなみに、このゲームの通貨にはルピーとダイヤの2種類があり、どちらもアイテム購入に使用することができますが細かい仕様が異なります。
ルピーはゼルダお馴染みの通貨で草を切ったり敵を倒すと出てきて簡単に集められます。その代わりに、ゲームオーバーになってしまうと集めたルピーとスコップ・ゆびわ・ブーツ・たいまつ・カギは全て落としてしまいます。
ダイヤはフィールド上の敵を全滅させるか壁の中に埋まっているものを掘り出すかで集められますがちょっと貴重。こちらはゲームオーバーになっても引き継がれる他、死んだ直後はダイヤでアイテムを買えるショップに移動するので集めていた方がいいです。
また、本作のマップにもゼルダ恒例のハートのうつわやハートのかけらが配置されていて、集めることでライフであるハートの数が増えていきます。死んでも増えたハートの数は引き継がれますし・多くなれば死ににくくなる…と思ったのですが、敵側も少しづつ強化されていくのであまり楽にはなりませんでした

どのようなマップでも必ずボスがいる大型ダンジョンが4つ、アイテムなどが入っている宝箱のあるミニダンジョンが各地に生成されます。カカリコ村やゲルド族の村などNPCがいる村も配置されています。
マップ上にある石碑「シーカーストーン」は目の前に行くことれ起動できるのですが、これがワープ地点・操作キャラ変更場所として機能しますので、見かけたら必ず起動しておきましょう。「黄金のリュート」というアイテムを使用することで任意のタイミングで起動済みシーカーストーンに移動できるようになりますし、コンティニュー時もシーカーストーンの前からスタートします。
「チャーム」というアイテムを入手すると、シーカーストーン・ミニダンジョン・ハートのかけら・中ボス・宝箱の位置をマップ上に示してくれるようになるので探索はしやすめ。
大型ダンジョンに関しては入る度に形状が異なる不思議のダンジョンシステム搭載。
大きさ自体は他のゼルダシリーズに出てくるダンジョンと比べると小規模なのですが、敵の密度がかなり高く・死ぬ度に地形が変わり・鍵の解放状態もリセットされてしまうので、ある程度は一気にクリアしてしまわないといけない仕様になっています。謎解きギミックはほぼ無く探索とバトルがメイン。
ダンジョンでは2フロア攻略ごとにチェックポイント的な感じで入口に戻れるようになるので、攻略難易度は高いもののそこまで理不尽には感じません。
ボス戦の難易度はダンジョン攻略に対して低めのものが多め。ただし、ラスボス手前のオクターヴォ戦だけは長丁場になる上ダメージを受けやすいギミックが多いので、赤いクスリを買い込まないと勝てませんでした…。
「赤いクスリ」は魔法使いオババの店にてビンに詰められるアイテムなのですが、HPが0になった時に自動で使用してくれる上に全回復という優秀なアイテムで実質的に妖精の上位互換です。ダンジョンやボスに何回挑んでも勝てない場合は赤いクスリに頼るのが安泰。

最序盤にリンクかゼルダを選んで使うことになるのですが、あるイベントをクリアすると任意に切り替えできるようになります(初期設定でキャラ変更を縛ることも可)。また、ネクロダンサーの主人公であるケイデンスも最初にちょっとだけとストーリーが進むと使用できるようになります。
最初の頃はどのキャラクターでも性能の差は少ないのですが、進めると覚える専用技が異なります。ハートの数や入手したアイテムなどは全員で共有。
専用技についてですが、リンクの「回転斬り」は1ターン目で貯めて2ターン目で放つ技で周囲1マスの敵を攻撃できるというもの、ゼルダは「ディンの炎」が自分が操作できる火の玉を飛ばして遠隔で攻撃できるというもの、ケイデンスの「シャベルストライク」は前方3x2のエリアの敵を攻撃し柔らかい壁があればついでに壁を掘るというもの。
専用技の使いやすさでいえばケイデンス>リンク>ゼルダと言った感じ。魔力を消費するので連打は出来ないのですが、広い範囲の攻撃ができる方が使いやすいです。
クリア後に解禁されるオクターヴォ・オデッセイでは敵キャラであるオクターヴォが操作できる他、DLC購入でも操作キャラが増えます。
謎解きのヒントが少ない点は特にゼルダ(リンク)加入に関するアイテムで痛感しました…。「ハイビスカス」というアイテムが必要だとカカリコ村のNPCから聞けるのですが、このハイビスカスが何なのか・どこで手に入るかは教えてくれず、花のハイビスカスなら海岸にあると思って海沿いを必死に探してました…。
ちょっとネタバレなんですけど、ハイビスカスは薬の名前でカカリコ村の墓の下にある隠しダンジョンで入手できるアイテムです。墓守のキャラがヒントを教えてくれるとはいえ、ハイビスカス=クスリとはならないですし、大体の人が花のハイビスカスをイメージすると思います…。
大型ダンジョンの場所についても自分で探し当てる必要があったり、どこのミニダンジョンにどのアイテムがあるのかは見つけるまで分からないなど、ヒントの数は総じて少なめ。
ストーリー(特にオクターヴォ関係)についてはかなり説明不足なものとなっています。ここから先はネタバレ注意。
一見敵キャラに見えるオクターヴォなんですが、彼の目的は「真のラスボスであるガノンを倒すこと」であり、どちらかと言うと善サイドのキャラクターです。
しかしながら、リンク達を眠らせたり・各ダンジョンのボスを作り出したのは彼の仕業でどう見ても悪役の動き方だし、終盤にはリンクたちがダンジョンで集めた楽器を奪って単身でガノン討伐に向い敗北するという謎ムーブまで噛ましてくれます…。
一応、オクターヴォ・オデッセイでは「自身の運命を改変するためのガノン打倒」が目的であるとは明かされます…が、それならリンク達に状況説明して一緒に行動するのではダメだったの?という疑問は残ったままです…。
また、ケイデンスに関してもネクロダンサー世界には帰れていないようで未解決のまま投げっぱなしエンドで終了。続編のフラグかもしれませんがせめて元の世界に戻してあげて欲しかったです。
システムはゼルダの伝説よりも不思議のダンジョンシリーズ等ローグライクと呼ばれるゲームの方が近いものの、ゼルダの伝説での謎解きやローグライク全般のダンジョン攻略みたいにじっくり考えるのとは真逆でBGMにノリながらリアルタイムでの対処が要求されるのが醍醐味となっているので、ローグライク好きやゼルダ好き以上に音ゲーやアクションゲームが好きな人にこそオススメ。
本家ネクロダンサーは本作以上に難易度が高いとの事なので、ネクロダンサーシリーズ入門作として遊んでみるのもアリ。値段も3000円程度とインディーゲームよりの値段でお安めなので、気になる方はとりあえずでも遊んでみて損は無いとは思います。
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正式なタイトルは『ケイデンス・オブ・ハイラル: クリプト・オブ・ネクロダンサー feat.ゼルダの伝説』です。ジャンルはローグライクリズムアクション。
お値段は税込2980円。有料DLCもいくつか配信されています。
任天堂の公式オンラインストア。「ケイデンス・オブ・ハイラル: クリプト・オブ・ネクロダンサー feat. ゼルダの伝説 ダウンロード版」の販売ページ。マイニンテンドーストアではNintendo Switch(スイッチ)やゲームソフト、ストア限定、オリジナルの商品を販売しています。
・タイトル:
ケイデンス・オブ・ハイラル: クリプト・オブ・ネクロダンサー feat.ゼルダの伝説
・発売元:スパイク・チュンソフト
・開発元:Brace Yourself Games
・対応ハード:Switch
・定価:
パケ版:4780円(税込) / DL版:2980円(税込)
・発売日:2019年6月14日
・ジャンル:
ローグライクリズムアクション
・CERO:B(12歳以上対象)
・プレイ人数:1〜2人
・権利表記:
© Nintendo © Brace Yourself Games. © Spike Chunsoft All rights reserved.Licensed by Nintendo.
・公式サイト:
https://www.spike-chunsoft.co.jp/necrodancer-zelda/
どういう人にオススメ?
・ゼルダの伝説もしくはクリプト・オブ・ネクロダンサーが好きな人!
・臨機応変な対処が素早く求められるゲームが好きな人!
良かった点
・独特なシステムには慣れが必要だがリズムに乗って操作していると楽しくなってくる
・リズムに乗るのが苦手な人向けにノービートモードも用意されている
・地味に珍しい、ゼルダをプレイアブルキャラとして使える作品でもある
賛否両論?点
・戦闘は慣れても難しく囲まれると一気にピンチになる
・一部重要アイテムのヒントが少ない様に思える
・ストーリーは説明不足でやや粗が目立つ仕上がり
備考
(当ブログの画像はSwitch本体の機能を用いて撮影)
ケイデンス・オブ・ハイラル: クリプト・オブ・ネクロダンサー feat.ゼルダの伝説
・発売元:スパイク・チュンソフト
・開発元:Brace Yourself Games
・対応ハード:Switch
・定価:
パケ版:4780円(税込) / DL版:2980円(税込)
・発売日:2019年6月14日
・ジャンル:
ローグライクリズムアクション
・CERO:B(12歳以上対象)
・プレイ人数:1〜2人
・権利表記:
© Nintendo © Brace Yourself Games. © Spike Chunsoft All rights reserved.Licensed by Nintendo.
・公式サイト:
https://www.spike-chunsoft.co.jp/necrodancer-zelda/
どういう人にオススメ?
・ゼルダの伝説もしくはクリプト・オブ・ネクロダンサーが好きな人!
・臨機応変な対処が素早く求められるゲームが好きな人!
良かった点
・独特なシステムには慣れが必要だがリズムに乗って操作していると楽しくなってくる
・リズムに乗るのが苦手な人向けにノービートモードも用意されている
・地味に珍しい、ゼルダをプレイアブルキャラとして使える作品でもある
賛否両論?点
・戦闘は慣れても難しく囲まれると一気にピンチになる
・一部重要アイテムのヒントが少ない様に思える
・ストーリーは説明不足でやや粗が目立つ仕上がり
備考
(当ブログの画像はSwitch本体の機能を用いて撮影)
ネクロダンサー+ゼルダという組み合わせ
本作にはゼルダの伝説のキャラクターが登場するのですが、開発元は任天堂ではなくBrace Yourself Gamesというインディーゲームスタジオ。同スタジオが出しているゲームに『クリプト・オブ・ネクロダンサー』という作品がありまして、一部のキャラクターの他にメインシステムはそちらから持ち込まれているようです。
私はネクロダンサーシリーズを触るのが本作で初めて。当シリーズはローグライクにリズムゲーム要素を追加した独特なジャンルとなっています。
基本となるストーリーモードをクリアすることで、ダンジョンモード(ダンジョンのみをどんどんクリアしていくモード)とオクターヴォ・オデッセイ(敵キャラ視点のストーリー)といった追加モードが解禁されます。また、有料DLC「新たなる挑戦者たち」もしくはシーズンパスを購入済みならオールキャラモード(ダンジョンモードを階層ごとに操作キャラが変わる形式で挑む)が追加されます。
謎解きは岩を動かす倉庫番パズル形式のものが多く、ゼルダシリーズ本編みたいにダンジョン全体が1つの装置になっているような複雑な物は出てきません。その代わりに特殊な操作性と敵の多さに手こずりやすく戦闘面での難易度がやや高めです。
ストーリーモードは1データ辺り2~5時間ぐらいでクリアできる手軽な作り。サクッと遊ぶにはいいゲームで周回しても楽しめると思います。
ローグライク×音楽ゲームでハイラルの大地を冒険

プレイヤーキャラ含めフィールド上にいるキャラクターはターン毎に移動・攻撃を行います。ターン経過はBGMと連動していて1ビート毎に1ターン進行し、リズムに合わせてボタンを押さないとプレイヤーキャラは行動できない仕様となっています。
このリズムゲーム要素が楽しいところであり難易度を上げている原因。マップ上の敵の位置を確認しつつ移動したい…けれども敵も自分も音楽に合わせて動く以上、瞬時に何をするか判断してその通りに操作する必要が出てきて忙しいです。
タイミングがズレたり押し忘れるとミス判定となり1ターン分何もできず無駄にしてしまいます…。判定自体はかなり甘めですが、マップの切り替えでBGMが急に変わったり・罠でテンポが変わったり・攻撃でBGMを聞こえなくしてきたりと、このシステムならではの妨害もあって油断できません。
しかしながら、良質なBGMに合わせて操作しているうちにノリノリになってきて不思議とのめり込んでくる魅力がこのゲームにはあります。ローグライクゲームとリズムゲームがいい塩梅で配合されていることにより、全く新しい面白味が生まれていて難しいけれども楽しい作品に仕上がっています。
曲に合わせて反射でボタンを押すだけではダメで、目から送られてくる情報と耳から送られてくるBGMを脳でしっかり処理して・最後に手を動かす所までを全て1ビートの合間にやらないといけないという、この忙しさが一番楽しい所。音楽にノリながらも色々考えているという状況は中々味わえられない感覚ですし、忙しいからこそ順調に対処できている時のグルーヴ感が気持ちいいです。
ただし、ローグライクらしい楽しさに関しては音ゲー要素によって打ち消されている部分があることは否めません。特にじっくり考えるのが楽しいんだ!という人だとその考え方が真っ向から否定されているので合わないかと。
運次第で致命的なアクシデントが起こるということがほぼない代わりに、油断して敵に囲まれたりした後にどうにかしようと思っても思考が間に合わずやられてしまう場面が多いように感じます。なので危機がギリギリまで迫った状況での対処以前に、予め危機に陥らないようにノリながら冷静に行動し続ける事が重要です。
だからといって常に音楽にノッていないといけないわけではなく、画面上にいる敵を全滅させると移動するまで音ゲーから開放されるので安息タイムもあります。マップ上に謎解きギミックがある時は殲滅してから謎解きをするのがセオリー。
流れるBGMは過去のゼル伝で使われたもののアレンジがほとんど。草原エリアで流れるメインテーマ・砂漠エリアで流れるゲルドの谷など曲数は少ないもののノレるアレンジになっていて、演出面でも敵を全絶させると静かになったり・お店の近くでは店主の歌声が聞こえたりと手が込んでいます。
ちなみに、音ゲーが苦手だけどローグライクゲームとして遊びたい方用に「ノービートモード」も搭載されています。でも元々が音楽に合わせる前提で作られているバランスで音ゲー要素を無くすと難易度がガン下がりしてただのぬるいローグライク風ゼルダになってしまうので、最初からノービートにしてしまうのはもったいないです。
攻撃は敵に向かって移動することで自動で行ってくれますが、敵の動きを見て構えていない時に攻撃しないと反撃をもらってしまいます。
この反撃の構えも慌てていると見過ごしやすく・モンスターの種類によって行動パターンが大きく異なるので、しっかりと画面を見て近づいていいか判断する必要があります。敵のパターンを把握していないといけないという意味では知識ゲーではあります。
特にリンクが初期に持っている剣は前1マスにしか攻撃できないため反撃をもらいやすいです…。前2マス先に攻撃できるスピアや前側3×1マスを同時に攻撃できるブロートソードが手に入った後はそっちの方を使っていました。
剣や盾は初期から持てますが、今作のアイテムは多くがミニダンジョンの宝箱から入手できます。探索時に使うアイテムを集めるためにも見かけたミニダンジョンは片っ端からクリアしていったほうがいいです。
入手したアイテムは+ボタンで出せるインベントリでABXYボタンに登録、フィールドで登録したボタンを押すと使用。2Dゼルダでよくある使い方です。
アイテムにはバクダン・弓矢・ロックちょうのはね・ソマリアのつえなどゼルダの伝説シリーズに出てくるものが多数ですが、「○○のまきもの」などシレンとか他のローグライクゲーに出てきがちな使い切りで特殊な効果を発動するタイプのアイテムも出てきます。
スコップ等のアイテムは剣と同じように発動条件が揃えば自動で使ってくれる他、「使用時にルピーが出ることがあるスコップ」とか「隠れているアイテムが見えるようになるたいまつ」など同じジャンルの道具でも特殊な効果を持つものもあります。中にはガラス製ですぐ壊れるというものも…。
ちなみに、このゲームの通貨にはルピーとダイヤの2種類があり、どちらもアイテム購入に使用することができますが細かい仕様が異なります。
ルピーはゼルダお馴染みの通貨で草を切ったり敵を倒すと出てきて簡単に集められます。その代わりに、ゲームオーバーになってしまうと集めたルピーとスコップ・ゆびわ・ブーツ・たいまつ・カギは全て落としてしまいます。
ダイヤはフィールド上の敵を全滅させるか壁の中に埋まっているものを掘り出すかで集められますがちょっと貴重。こちらはゲームオーバーになっても引き継がれる他、死んだ直後はダイヤでアイテムを買えるショップに移動するので集めていた方がいいです。
また、本作のマップにもゼルダ恒例のハートのうつわやハートのかけらが配置されていて、集めることでライフであるハートの数が増えていきます。死んでも増えたハートの数は引き継がれますし・多くなれば死ににくくなる…と思ったのですが、敵側も少しづつ強化されていくのであまり楽にはなりませんでした

セーブデータでマップが変わるシステム付き
セーブデータ毎にフィールドの形状が変わるシード値システムも採用されていますが、大まかなエリア配置は一緒で各フィールドのギミックや地形が変わる感じ。
どのようなマップでも必ずボスがいる大型ダンジョンが4つ、アイテムなどが入っている宝箱のあるミニダンジョンが各地に生成されます。カカリコ村やゲルド族の村などNPCがいる村も配置されています。
マップ上にある石碑「シーカーストーン」は目の前に行くことれ起動できるのですが、これがワープ地点・操作キャラ変更場所として機能しますので、見かけたら必ず起動しておきましょう。「黄金のリュート」というアイテムを使用することで任意のタイミングで起動済みシーカーストーンに移動できるようになりますし、コンティニュー時もシーカーストーンの前からスタートします。
「チャーム」というアイテムを入手すると、シーカーストーン・ミニダンジョン・ハートのかけら・中ボス・宝箱の位置をマップ上に示してくれるようになるので探索はしやすめ。
大型ダンジョンに関しては入る度に形状が異なる不思議のダンジョンシステム搭載。
大きさ自体は他のゼルダシリーズに出てくるダンジョンと比べると小規模なのですが、敵の密度がかなり高く・死ぬ度に地形が変わり・鍵の解放状態もリセットされてしまうので、ある程度は一気にクリアしてしまわないといけない仕様になっています。謎解きギミックはほぼ無く探索とバトルがメイン。
ダンジョンでは2フロア攻略ごとにチェックポイント的な感じで入口に戻れるようになるので、攻略難易度は高いもののそこまで理不尽には感じません。
ボス戦の難易度はダンジョン攻略に対して低めのものが多め。ただし、ラスボス手前のオクターヴォ戦だけは長丁場になる上ダメージを受けやすいギミックが多いので、赤いクスリを買い込まないと勝てませんでした…。
「赤いクスリ」は魔法使いオババの店にてビンに詰められるアイテムなのですが、HPが0になった時に自動で使用してくれる上に全回復という優秀なアイテムで実質的に妖精の上位互換です。ダンジョンやボスに何回挑んでも勝てない場合は赤いクスリに頼るのが安泰。
プレイアブルキャラはストーリーでは3種類
今作はゼルダの伝説シリーズを通しても結構珍しい、ゼルダ姫をプレイヤーが操作できるゲームでもあります。ゼルダ無双とかスマブラとか他にもゼルダ姫を動かせる作品はあるにはありますが、2Dゼルダの形を強く保っている作品では初めてかも(『ゼルダの伝説 大地の汽笛』のファントムゼルダは微妙なライン…)。
最序盤にリンクかゼルダを選んで使うことになるのですが、あるイベントをクリアすると任意に切り替えできるようになります(初期設定でキャラ変更を縛ることも可)。また、ネクロダンサーの主人公であるケイデンスも最初にちょっとだけとストーリーが進むと使用できるようになります。
最初の頃はどのキャラクターでも性能の差は少ないのですが、進めると覚える専用技が異なります。ハートの数や入手したアイテムなどは全員で共有。
専用技についてですが、リンクの「回転斬り」は1ターン目で貯めて2ターン目で放つ技で周囲1マスの敵を攻撃できるというもの、ゼルダは「ディンの炎」が自分が操作できる火の玉を飛ばして遠隔で攻撃できるというもの、ケイデンスの「シャベルストライク」は前方3x2のエリアの敵を攻撃し柔らかい壁があればついでに壁を掘るというもの。
専用技の使いやすさでいえばケイデンス>リンク>ゼルダと言った感じ。魔力を消費するので連打は出来ないのですが、広い範囲の攻撃ができる方が使いやすいです。
クリア後に解禁されるオクターヴォ・オデッセイでは敵キャラであるオクターヴォが操作できる他、DLC購入でも操作キャラが増えます。
ヒントの少なさと説明不足なストーリーは難点
このゲームの難点はストーリー進行のためのヒントがほとんどない点と物語自体の説明も少ない点。ゼルダ本編と比べるとストーリーはかなり薄味気味になっていて、誘導してくれるようなイベントやキャラクター自体が少なめです。謎解きのヒントが少ない点は特にゼルダ(リンク)加入に関するアイテムで痛感しました…。「ハイビスカス」というアイテムが必要だとカカリコ村のNPCから聞けるのですが、このハイビスカスが何なのか・どこで手に入るかは教えてくれず、花のハイビスカスなら海岸にあると思って海沿いを必死に探してました…。
ちょっとネタバレなんですけど、ハイビスカスは薬の名前でカカリコ村の墓の下にある隠しダンジョンで入手できるアイテムです。墓守のキャラがヒントを教えてくれるとはいえ、ハイビスカス=クスリとはならないですし、大体の人が花のハイビスカスをイメージすると思います…。
大型ダンジョンの場所についても自分で探し当てる必要があったり、どこのミニダンジョンにどのアイテムがあるのかは見つけるまで分からないなど、ヒントの数は総じて少なめ。
ストーリー(特にオクターヴォ関係)についてはかなり説明不足なものとなっています。ここから先はネタバレ注意。
一見敵キャラに見えるオクターヴォなんですが、彼の目的は「真のラスボスであるガノンを倒すこと」であり、どちらかと言うと善サイドのキャラクターです。
しかしながら、リンク達を眠らせたり・各ダンジョンのボスを作り出したのは彼の仕業でどう見ても悪役の動き方だし、終盤にはリンクたちがダンジョンで集めた楽器を奪って単身でガノン討伐に向い敗北するという謎ムーブまで噛ましてくれます…。
一応、オクターヴォ・オデッセイでは「自身の運命を改変するためのガノン打倒」が目的であるとは明かされます…が、それならリンク達に状況説明して一緒に行動するのではダメだったの?という疑問は残ったままです…。
また、ケイデンスに関してもネクロダンサー世界には帰れていないようで未解決のまま投げっぱなしエンドで終了。続編のフラグかもしれませんがせめて元の世界に戻してあげて欲しかったです。
総評:ローグライクと音楽ゲームを足したシステムが良い感じ
ストーリー面では難アリな本作ですが、独特な忙しさや難しさはなかなか癖になるものがあります。システムはゼルダの伝説よりも不思議のダンジョンシリーズ等ローグライクと呼ばれるゲームの方が近いものの、ゼルダの伝説での謎解きやローグライク全般のダンジョン攻略みたいにじっくり考えるのとは真逆でBGMにノリながらリアルタイムでの対処が要求されるのが醍醐味となっているので、ローグライク好きやゼルダ好き以上に音ゲーやアクションゲームが好きな人にこそオススメ。
本家ネクロダンサーは本作以上に難易度が高いとの事なので、ネクロダンサーシリーズ入門作として遊んでみるのもアリ。値段も3000円程度とインディーゲームよりの値段でお安めなので、気になる方はとりあえずでも遊んでみて損は無いとは思います。
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