【いっせいトライアル】『Storyteller』を遊んだ感想&レビュー【クリア済】
2023年7月のいっせいトライアルで『Storyteller(ストーリーテラー)』を遊んだ感想です。

キャラと場面を配置してお話を作る少し変わったパズルゲームです。今月のトライアルは本作と『7 Days to End with You』『紙がない!』の3本立て。
トライアル期間中に感想を書くことができませんでしたが、製品版は7月27日まで1425円(25%off)でセール中なので気になる方は是非。ただし個人的な感想としては25%オフでも高いかなと思うぐらいのボリュームでしたので、今すぐやりたいという要求を抑え込めるのであれば更なる値下げを待つのをオススメしたい所。
完全クリアまで2時間程度しかかかりませんでした。リピート性があるジャンルでもないので購入はお見送りする事に。
この記事には紹介する上で答えがわかる画像を2問分ほど掲載しております。ネタバレ完全NGという方は閲覧をご控えください。
例として「癒される心の傷」というタイトルのお話を作ってみます。配置できるイベントは結婚と死の2種類/登場人物は4人。
心の傷を負わせるには大事な人がいなくなれば手っ取り早いよね…ということで、結婚後に片方を死なせた後に別の人物と結婚させました。語り手によっていとも容易く起こされる悲劇…。

この時に注意しないといけないのが、先に結婚の場面を持ってきて【エドガーとレノーラの2人が愛し合っていた】という描写をしておかないと物語が成り立たなくなる事。レノーラの死の場面を最初に持ってくると、結婚どころか恋人だった記録を持たないエドガーが知らない人の墓の前でどう反応すればいいのかハテナを浮かべるだけでそれ以上進展しません。
登場人物達は形が決まりきったピースという扱いではなく、どんなイベントがあったかによって感情が柔軟に変わるのがワンポイント。失恋したり未亡人になれば落ち込むし、喧嘩すればムカムカするし、好きな人が他の人とイチャイチャしているのを見かければ嫉妬もするしでとても感情豊かです。
感情や人間関係のみに限らず、本人の状態をも変えることができます。死んだ人物を後のコマに配置する事で幽霊として登場させたり・逆に復活させられたり・魔女に魔法をかけられてカエルにしたり、素材は少なくても使い方次第で色んな展開に発展可能です。
プレイヤーの頭の中で愛し合っているという事にするのではダメで、ちゃんと表現できていなければ読み手どころか登場人物側も認識してくれません。読者にわかる形で登場人物が置かれている環境や現状を伝えておくというのは物語作りの基本のキ、けれども意識してやらないとおざなりになってしまいがちなテクニックです。
本作ではキャラが思った通りに動いてくれない事がヒントになって描写が足りていない事に気付かせてくれます。なので見直しやすくなっていますが、もし自分で一から物語を作ろうとすると頭の中には設定があるが故に想定以上に描写不足であることに気づけなかったりするのだろうな…と思いました。
ただし、後ほど出題される問題では暗黙の了解で最初から関係性が存在する組み合わせというのも登場します。その例が騎士と女王と王様で、もし仮に騎士と女王を恋愛させようとしても既に女王は王様と結婚しているので騎士の事は取り合いませんし・騎士も身分を弁えていて女王に恋愛感情を持つ事はありません。
順序を踏めば最初から構築されている関係性をも崩すことはできるのですが、コマ数に余裕があってかつ人間関係を悪化させる用の場面が用意されている問題でないとそこまで行けません。なので基本的には元からある関係性をも活用しながらやり繰りすることになります。
限られたコマと場面の中で必要な部分をしっかり表現しないといけないので、簡単そうに見えて複雑なお話を作る章ではまあまあ悩みました。後はどのようにタイトルを回収するかも重要で、一目見ただけではどうやってこの結末に持っていけば…と思うような組み合わせを渡されることも少なくないです。
一部の章では追加条件が課されて別の展開を求められる事も。この章も「追加条件:誰も死なない」というのが付け足されました。
誰も居なくならずに心の傷を追わせる方法…それは失恋。既に結婚している相手にアタックさせることで玉砕させてから他の人物と結婚させれば万事解決(?)です。

この物語は唐突に2人目の女性が現れていたりして正直に言うと面白みに欠けている気もしますが…タイトルの回収も追加条件も満たせているのでOK判定を貰えました。本作の目的はあくまでもタイトル通りの物語を作る事であって、面白い物語を作ることではありません。
自分の思い通りの物語を書けるわけではないので悪しからず。本作でやっていることは物語を作るというよりかは原作アリの状態で行う脚本家や演出家の仕事に近い気もします。
例えば「イゾベルの再婚」というお話を作る際に結婚相手を毒殺してから他の人とくっつけようとすると、毒殺を計画するキャラにはイゾベルを割り当てないといけません。一見するとレノーラがエドガーを毒殺するように仕向けて計画的略奪婚の流れにもできそうですが、レノーラに毒殺を試みさせようにも上手くいきませんでした。

実は登場人物は見た目と名前のみならず性格と立場も持っています。イゾベルはいわゆる悪女で理由があれば計画殺害も厭わない性格だからこそ、仲が悪くなるキッカケさえ作れば伴侶を殺させることも可能というわけです。
登場人物の性格について文章などで説明されることはないので、試しに色々なシーンに配置してみて推測することになります。性格の悪い奴はちゃんと悪そうな顔をしているので見た目からも多少予測できますが。
キャラ同士の関係性や性格を考慮しながらの物語作りは結構楽しかったです。ただ、全体のボリュームが控えめでそれなりに悩んでも遊び尽くすまでに2時間ぐらいしかかからないのが、もっと遊びたかったのに勿体ないと思った所です。
完全クリア後に全イベントと全登場人物を使えて自由に物語を作れる真のストーリーテラーモードが解禁されるとかでも、もっと長く楽しめたかも。ゲーム中1〜2回しか使わなかったイベントもありましたし、私が見過ごした状態変化や反応もありそうだったので、それを確認したいのを含めて自由に物語を作るモードが欲しかったです。
他に好き嫌いが分かれそうな所として、人が死んだり殺されたりする物語が多くなりがちな事も挙げておきます。6〜7割ぐらいの確率で人が死ぬ意外とバイオレンスなゲームかつ展開の都合上回避できない死が多め。
でもピースとなる登場人物に人格があって、合わない配役を与えてしまうと目的の形に物語が運ばないことも。配置された場面に合わせて今後の関係性が変化する所も作り込まれていて、意外と頭を使う作品でした。
それでも定価1900円はちと高いと思ったので、今回のトライアルで遊べなかった人は1000円前後になるまで待ってもいいかも。パズルとしてはユニークで楽しいのですが、もう少し手に取りやすい値段でも良かったのではないかな…とは思ってしまいます。
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キャラと場面を配置してお話を作る少し変わったパズルゲームです。今月のトライアルは本作と『7 Days to End with You』『紙がない!』の3本立て。
トライアル期間中に感想を書くことができませんでしたが、製品版は7月27日まで1425円(25%off)でセール中なので気になる方は是非。ただし個人的な感想としては25%オフでも高いかなと思うぐらいのボリュームでしたので、今すぐやりたいという要求を抑え込めるのであれば更なる値下げを待つのをオススメしたい所。
完全クリアまで2時間程度しかかかりませんでした。リピート性があるジャンルでもないので購入はお見送りする事に。
この記事には紹介する上で答えがわかる画像を2問分ほど掲載しております。ネタバレ完全NGという方は閲覧をご控えください。
任天堂の公式オンラインストア。「Storyteller ダウンロード版」の販売ページ。マイニンテンドーストアではNintendo Switch(スイッチ)やゲームソフト、ストア限定、オリジナルの商品を販売しています。
・タイトル:Storyteller
・発売元:Annapurna Interactive
・開発元:Daniel Benmergui
・対応ハード:PC(Steam)/Switch
・定価:1900円(税込)
・発売日:2023年3月24日
・ジャンル:パズルゲーム
・IARC:7+(7歳以上対象)
・プレイ人数:1人
・権利表記:
© 2023 Daniel Benmergui. Published by Annapurna Interactive under exclusive license. All rights reserved.
どういう人にオススメ?
・パズルゲームが好きな人!
良かった点
・場面と人物を配置して物語を作るというユニークなシステムのパズル
・前コマでの出来事に合わせて登場人物の人間関係が柔軟に変わる
・登場人物毎に性格が決められているので誰をどの役にするかも重要
賛否両論?点
・使えるシーンや登場人物が予め決まっていて自分の好きな物語を作れるわけではない
・お値段に対して問題の数は少なく感じる
備考
(当ブログの画像はSwitch本体の機能を用いて撮影)
・発売元:Annapurna Interactive
・開発元:Daniel Benmergui
・対応ハード:PC(Steam)/Switch
・定価:1900円(税込)
・発売日:2023年3月24日
・ジャンル:パズルゲーム
・IARC:7+(7歳以上対象)
・プレイ人数:1人
・権利表記:
© 2023 Daniel Benmergui. Published by Annapurna Interactive under exclusive license. All rights reserved.
どういう人にオススメ?
・パズルゲームが好きな人!
良かった点
・場面と人物を配置して物語を作るというユニークなシステムのパズル
・前コマでの出来事に合わせて登場人物の人間関係が柔軟に変わる
・登場人物毎に性格が決められているので誰をどの役にするかも重要
賛否両論?点
・使えるシーンや登場人物が予め決まっていて自分の好きな物語を作れるわけではない
・お値段に対して問題の数は少なく感じる
備考
(当ブログの画像はSwitch本体の機能を用いて撮影)
ちゃんと表現しないと登場人物もわかってくれない
物語を作ると言ってもやる事は簡単で、出されたタイトル通りのお話になるようにコマの中へ場面と人物を入れ込むだけ。登場人物とイベントはそれぞれの問題で予め指定されているものしか使えません。例として「癒される心の傷」というタイトルのお話を作ってみます。配置できるイベントは結婚と死の2種類/登場人物は4人。
心の傷を負わせるには大事な人がいなくなれば手っ取り早いよね…ということで、結婚後に片方を死なせた後に別の人物と結婚させました。語り手によっていとも容易く起こされる悲劇…。

この時に注意しないといけないのが、先に結婚の場面を持ってきて【エドガーとレノーラの2人が愛し合っていた】という描写をしておかないと物語が成り立たなくなる事。レノーラの死の場面を最初に持ってくると、結婚どころか恋人だった記録を持たないエドガーが知らない人の墓の前でどう反応すればいいのかハテナを浮かべるだけでそれ以上進展しません。
登場人物達は形が決まりきったピースという扱いではなく、どんなイベントがあったかによって感情が柔軟に変わるのがワンポイント。失恋したり未亡人になれば落ち込むし、喧嘩すればムカムカするし、好きな人が他の人とイチャイチャしているのを見かければ嫉妬もするしでとても感情豊かです。
感情や人間関係のみに限らず、本人の状態をも変えることができます。死んだ人物を後のコマに配置する事で幽霊として登場させたり・逆に復活させられたり・魔女に魔法をかけられてカエルにしたり、素材は少なくても使い方次第で色んな展開に発展可能です。
プレイヤーの頭の中で愛し合っているという事にするのではダメで、ちゃんと表現できていなければ読み手どころか登場人物側も認識してくれません。読者にわかる形で登場人物が置かれている環境や現状を伝えておくというのは物語作りの基本のキ、けれども意識してやらないとおざなりになってしまいがちなテクニックです。
本作ではキャラが思った通りに動いてくれない事がヒントになって描写が足りていない事に気付かせてくれます。なので見直しやすくなっていますが、もし自分で一から物語を作ろうとすると頭の中には設定があるが故に想定以上に描写不足であることに気づけなかったりするのだろうな…と思いました。
ただし、後ほど出題される問題では暗黙の了解で最初から関係性が存在する組み合わせというのも登場します。その例が騎士と女王と王様で、もし仮に騎士と女王を恋愛させようとしても既に女王は王様と結婚しているので騎士の事は取り合いませんし・騎士も身分を弁えていて女王に恋愛感情を持つ事はありません。
順序を踏めば最初から構築されている関係性をも崩すことはできるのですが、コマ数に余裕があってかつ人間関係を悪化させる用の場面が用意されている問題でないとそこまで行けません。なので基本的には元からある関係性をも活用しながらやり繰りすることになります。
限られたコマと場面の中で必要な部分をしっかり表現しないといけないので、簡単そうに見えて複雑なお話を作る章ではまあまあ悩みました。後はどのようにタイトルを回収するかも重要で、一目見ただけではどうやってこの結末に持っていけば…と思うような組み合わせを渡されることも少なくないです。
一部の章では追加条件が課されて別の展開を求められる事も。この章も「追加条件:誰も死なない」というのが付け足されました。
誰も居なくならずに心の傷を追わせる方法…それは失恋。既に結婚している相手にアタックさせることで玉砕させてから他の人物と結婚させれば万事解決(?)です。

この物語は唐突に2人目の女性が現れていたりして正直に言うと面白みに欠けている気もしますが…タイトルの回収も追加条件も満たせているのでOK判定を貰えました。本作の目的はあくまでもタイトル通りの物語を作る事であって、面白い物語を作ることではありません。
自分の思い通りの物語を書けるわけではないので悪しからず。本作でやっていることは物語を作るというよりかは原作アリの状態で行う脚本家や演出家の仕事に近い気もします。
登場人物達は性格も持っている
上の問題はお題がシンプルということもあって誰をどの役割に置いても特に問題はありませんでした。ただ、章によっては特定の人物を特定の役に据えないと作れない物語になったりもします。例えば「イゾベルの再婚」というお話を作る際に結婚相手を毒殺してから他の人とくっつけようとすると、毒殺を計画するキャラにはイゾベルを割り当てないといけません。一見するとレノーラがエドガーを毒殺するように仕向けて計画的略奪婚の流れにもできそうですが、レノーラに毒殺を試みさせようにも上手くいきませんでした。

実は登場人物は見た目と名前のみならず性格と立場も持っています。イゾベルはいわゆる悪女で理由があれば計画殺害も厭わない性格だからこそ、仲が悪くなるキッカケさえ作れば伴侶を殺させることも可能というわけです。
登場人物の性格について文章などで説明されることはないので、試しに色々なシーンに配置してみて推測することになります。性格の悪い奴はちゃんと悪そうな顔をしているので見た目からも多少予測できますが。
キャラ同士の関係性や性格を考慮しながらの物語作りは結構楽しかったです。ただ、全体のボリュームが控えめでそれなりに悩んでも遊び尽くすまでに2時間ぐらいしかかからないのが、もっと遊びたかったのに勿体ないと思った所です。
完全クリア後に全イベントと全登場人物を使えて自由に物語を作れる真のストーリーテラーモードが解禁されるとかでも、もっと長く楽しめたかも。ゲーム中1〜2回しか使わなかったイベントもありましたし、私が見過ごした状態変化や反応もありそうだったので、それを確認したいのを含めて自由に物語を作るモードが欲しかったです。
他に好き嫌いが分かれそうな所として、人が死んだり殺されたりする物語が多くなりがちな事も挙げておきます。6〜7割ぐらいの確率で人が死ぬ意外とバイオレンスなゲームかつ展開の都合上回避できない死が多め。
総評:登場人物の感情や性格を考慮しながら物語を紡ぐ、ユニークなパズルゲーム
キャラクターやイベントを配置して物語を作るパズルゲーム。自分の思い描いたストーリーを自由に構築できるわけではなくて、提示されるお題通りの物語を指定された場面と人物で作るザ・パズルな作品です。でもピースとなる登場人物に人格があって、合わない配役を与えてしまうと目的の形に物語が運ばないことも。配置された場面に合わせて今後の関係性が変化する所も作り込まれていて、意外と頭を使う作品でした。
それでも定価1900円はちと高いと思ったので、今回のトライアルで遊べなかった人は1000円前後になるまで待ってもいいかも。パズルとしてはユニークで楽しいのですが、もう少し手に取りやすい値段でも良かったのではないかな…とは思ってしまいます。
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