【スマホアプリ/PC/Switch】『Strange Telephone』を遊んだ感想&レビュー【クリア済】
『Strange Telephone (ストレンジテレフォン)』を購入しました。

今回もe-shopでセールしていた所をゲットした作品。入力した電話番号で行先が変わるのが面白そう!と思って買いました。
ジャンルとしては脱出ゲームに分類されるものですが、閉じ込められているのは室外なのか室内なのか夢か現かすら不明の謎だらけワールド。電話をかけることでまた別の奇妙な世界へと旅立つ事ができて、そこで脱出に必要なアイテムを探すことに。
11種類あるエンディングを全部見るまでプレイしましたが、一部のアイテムやエンディングについては自力で見つける事を諦めてネット上のガイドに頼りました。一応7時間程でコンプ。



主人公のジルが目覚めたのは謎の空間。そこには電話型謎生物のグラハムもいて、理由はわかりませんがジルに寄り添ってくれます。
この謎の空間(Core)には大きな扉と「太陽のランタン」というアイテムと電話帳が置かれているのみ。アイテムやオブジェクトは近づいてAボタンを押すと拾ったり調べたりすることができて、Lボタンを押すと手持ちのアイテムを使うことができます。
電話帳には最初から「#612*5」という番号が記載済み。他のヒントも見当たらないのでとりあえずこの番号に電話をかけてみると、不思議なことに別の世界へワープしてしまいました。
ワープしたといっても、別世界にいられるのは受話器を持っている間のみで電話を切るとCoreへ戻ってきてしまいます。しかも飛ばされる先の世界は不安定なためずっとは滞在できません。
#612*5の世界にいたぼっちという名の謎存在(幽霊?)に話しかけるとまた別の番号を教えてくれました。教えてもらった番号を入力し再度トリップした先で「サーチデバイス」を入手。
動線はここまでで途切れます。この先は適当な電話番号にかけまくって、その先に何かオブジェクトがないか・拾えるものがないかを探し回ることになります。
電話の使い方についても説明すると、Rボタンを押すとダイヤル画面が開き・数字を6つ入力した後にLボタンを押すと別世界へ飛ばされます。タッチ操作にも対応していて押した時のピポポ音が凄く電話でちょっと感動。

サーチデバイスを拾っていれば、左上のディスプレイにて飛んだ先の世界にあるオブジェクトを予め確認できます。?と表示される時は未確認の物があるかもなので、とりあえず飛んでみるのがオススメ。
デタラメに番号を入れてもどこかしらには飛んでいけます。生成されうる世界は12^6=2985984にも及ぶため1人で全てを調べ切るのはほぼ不可能ですが、別のセーブデータでも番号が同じであれば同じ形の世界が出現するので他プレイヤーとの情報の共有は可能です。




お菓子でできた「DonutsIsland」、家の中のような「WoodenHouse」、ススキとタケノコが生えている「Moon」、ロケットが置かれている「MysteriousHill」…など、辿り着く先はこれまた奇妙な空間ばかり。ちなみに太陽のランタンを持っていない状態だと酷いノイズがかかってしまい周りにあるものを調べられません。
これらの世界にはオブジェクトやキャラクターが最低1つは存在していて、一度調べたものはXで開くメニュー>書庫に登録されます。書庫で読める情報にちょっとした攻略が書かれている事も。
300万近くもの世界が存在するなら多種多様な景色が見れそうだと思う所ですが、実際には10種類ぐらいのパターンに分けられて同系統の世界同士の差はエフェクト・オブジェクト・アイテムの有無や数が少し変わる程度の違いに留まります。一通りの生成パターンを確認するまでは1時間もかからず、後は見覚えのある景色ばかり出てくるようになるので、探索面での飽きは思っていたよりも早く来てしまいました。
全ての番号を確認したわけではないのでハッキリとは言い切れないのですが、その世界にしか存在しないオブジェクト有の特殊な世界というのはネット上の情報を集めても10個程度しか見つけられず。その特殊な世界もオブジェクトにインタラクトすることで番号を介さずに飛ぶいわゆる番外が多かったので、特定の番号を入れることでしか辿り着けない特殊な世界というのがもう少し欲しかったと正直思いました。
1つ1つの世界はかなり狭く端まで歩くと自動的に連番の世界へと移動します。000000⇔000001⇔000002…みたいな感じで繋がっていて、電話をかけて直接飛ぶ以外に歩き回っての探索も可能です。
ただし電話を切らずにずっと異世界に滞在し続けると、左上に表示されている数字が増えていって5になると強制的にBAD ENDになってしまいます。そのため定期的に探索を切り上げてCoreまで戻ってこないといけません。
また、一部の世界にはディスコネクトという死神のような姿をした敵対キャラがいて鎌で切られると一撃でBAD END行き。ここで挙げた2つのEDはロードすれば直前からやり直せるので、実際には単なるゲームオーバーです。
どの世界も不気味な雰囲気こそ漂っていますが、ディスコネクト以外のキャラクターが攻撃を仕掛けてくることはありません。見た目が怖くても調べてみるとアイテムをくれたり無害だったりで意外と危険性は少なめ。
レトロなドット絵とピコピコな電子音楽も得体の知れなさをプラスしているエッセンスになっています。不気味で奇抜だけどちょっと懐かしさも感じる低解像度の世界は本作一番の魅力です。
設定にはブラウン管モードなるものもあって、オンにすると古いテレビに映したかのように画面がぼやけます。今となってはブラウン管テレビの存在自体を知らない人も結構いそう?ですが、懐かしいと感じる人も私含めて少なくないはず。
一見繋がりのなさそうな不気味な世界を渡り歩く所は『LSD』に、風変わりなキャラクターが多数いる所やナタでNPCを攻撃することができる所は『ゆめにっき』(あっちは包丁だけど)からインスピレーションを受けているように感じました。グラハムの受話器を取っている間は「深い夢の中にいる感覚」らしいので夢の中を歩き回るゲームとの共通点があるのは何ら不思議な事ではないのかも。
ストーリーについては断片的かつ曖昧な形でしか語られず推測の余地がとにかく巨大。上で挙げた2作と違うのは陰鬱さやグロテスクさがほとんど無い事で、本作のはなんというか…謎の中に懐かしさと切なさが混ざったような…ぼんやりとしか覚えていない思い出のような…哀の中の暖かい寄りな感情が含まれている印象でした。
Coreからの脱出には扉を開ける「鍵」が必要。その鍵を入手するにあたって奇妙な世界群でアイテムを見つける必要があるというわけです。
Aを手に入れてある場所で使うとBが手に入り、さらにBをあるキャラクターの前で使うとCが手に入る…と言った感じで必要なアイテムが連鎖反応的に手に入る形式。しかし、本作は見た目で使い道が想像しにくいアイテムが結構ある上に組み合わせた結果起こる現象についても予測困難なものが多く、最終的には総当りせざるを得なくなります。
ジョウロなど序盤から手に入れやすいアイテムは使い道もわかりやすくなっていますが、いくつかのイベントを経て入手できる「青の結晶」や「創生の石」などは使う場面をイメージしにくい難儀なアイテム。名前から何となく重要そうということしか分からず、適当なオブジェクトを見つけ次第使っていくことになりました。
意味ありそうで特に何も無いオブジェクトやキャラクターといったブラフが多く存在しているのも困った所。遠くを見つめる背の高いキャラやマークが変わる標識など、意味深なようで謎解きには関わってこないオブジェクトというのが結構な数あって総当りする場合に時間を取られがちでもあります。
ナタを標識に対して振り回すと弾かれたりと、アイテムを特定のオブジェクトに対して使用した時の反応が地味に細かいのは良点でもあるのですが、その反応にひっかけられてしまう事もありました。青の結晶を焚き火に入れると青くなるのには何か意味があるのかもと思ったのに結局何もなかったり…。
ある世界でイベントを起こすと別の世界で何かが起こるといった遠隔スイッチパターンも結構あって、どこがどう変わったかをハッキリとは教えてくれないのも相まって変化した場所を探しに歩き回る時間というのも長くなりがち。適当に歩き回るだけだと変化した世界が運次第で中々出てこなくてさらに苦労するので、事前に各オブジェクトが存在する世界を電話帳に最低1つは登録しておくと捗ります。
公式サイトの「SNSなどで他のプレーヤーとの電話番号の共有することも可能です」という文章から1人で全EDや小ネタを見つける前提では作られていないゲームだと察してはいたので、7個ほどエンディングを回収した時点でネット上の攻略情報を解禁させていただきました。おそらく自力では気づけなかったであろう仕掛けやそもそもゲームの外にしかヒントがないエンディングもあったので、結果的にはこの判断は正解だったと思っております。
エンディングは11種類存在しています。実は扉から脱走するEDは4分の1ぐらいしかなく、脱出自体はできていないEDの方が多いです。
残念と思った所はもう1つあって、それは異世界への移動手段が電話である意味を感じ取る事ができなかったこと。現実の電話番号は繋がる相手が違っていて全部が意味を持つ番号であるので、別の番号にも関わらず似たような世界が出てくる本作の仕様とは合致しないように思えてしまいました。
特定の番号を入れないと行くことができない世界がもっと多く存在しているか、特定の電話番号のみしか繋がらない代わりに全ての世界が全く違うものであれば電話番号らしさというのを感じられたのかも…と色々考える所です。ジャンルは違いますが入力した電話番号で出現ステージが変わるという似たシステムを搭載しているゲームに『モナーク』という作品がありまして、そちらも適当な番号を入れると汎用マップに繋がる方式ではあったものの攻略上で意味のある番号というのも結構な数存在していたので、本作にも意味のある番号がもっと欲しかった感じ。
また勝手ながら、私が期待していたゲーム性というのが本作のシステムとは違っていた事も微妙と感じた理由の1つだと思います。私が期待していたのは隠されている番号を見つけて先の世界に進むというもの、もしくは数値問題から番号を推測するといった論理的な謎解きでしたので…。
最序盤のサーチデバイスを手に入れる所まではそれっぽくて本当にワクワクしていました。その期待の反動もあって、後のオブジェクトを探して彷徨うMinecraftの遠征のような時間が大部分を占めていたのに落胆の気持ちが湧いてしまいました。
一応ストーリー的には電話である意味が何かありそうな感じもしなくもないので詳しく知れたら印象もまた変わりそうではあるのですが、物語を読み解くヒントらしきものが軒並み抽象的であるため情報を整理すること自体が困難を極めています。Switch版のゲームニュースに開発者コメントが載っていて「実は直接的には明かすことのない“隠されたストーリー”を元にこのゲームをデザイン・構築しました。全11種あるエンディングムービーやキャラクター、オブジェクトのデザインなど、随所にその隠されたストーリーを解き明かす謎が仕込んであります」と書かれていたのですが、私の理解力と想像力の不足のせいもあって読み解くまでには至れず考察らしい考察もほとんどできませんでした…。
私が考えられたのは“ノスタルジー”が本作のテーマの一つにはなっていそうという事ぐらい。ドット絵やブラウン管モードの存在に加えて、グラハムがスマホではなく昔懐かしのダイアル式電話に近い姿をしていたり・オブジェクトとして出てくるポストも筒型の旧式ポストだったりと、現実では新型に置き換えられているものであっても本作の中では昔懐かしの姿で出てくることが多いのがそう思った理由です。
ちなみに本作のゲームニュースには、他にもとあるエンディングに行くための番号や特殊な部屋に行くための番号など超重要なヒントが書かれているので、Switch版を購入した人は一度目を通すことを強く推奨します。ゲームの外にヒントがあるというのは面白い試み…だとは思うのですが、せっかく用意されているエンディングを見つけられない人が出てきてしまうと勿体ないのでゲームの中にも何かしらの手がかりがあると良かったかも。
奇妙な世界らしくアイテムの使い方からして理解できないものが多く最終的には総当りする羽目になってしまうのは難点。世界観も謎が多くて推測することすら困難を極めています。
できれば複数人で情報交換しながら遊ぶことを推奨したい作品です。1人で遊ぶのであればある程度雰囲気を味わった時点でネット上の攻略を見てエンディングを回収していくのがベターかと思います。
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今回もe-shopでセールしていた所をゲットした作品。入力した電話番号で行先が変わるのが面白そう!と思って買いました。
ジャンルとしては脱出ゲームに分類されるものですが、閉じ込められているのは室外なのか室内なのか夢か現かすら不明の謎だらけワールド。電話をかけることでまた別の奇妙な世界へと旅立つ事ができて、そこで脱出に必要なアイテムを探すことに。
11種類あるエンディングを全部見るまでプレイしましたが、一部のアイテムやエンディングについては自力で見つける事を諦めてネット上のガイドに頼りました。一応7時間程でコンプ。
任天堂の公式オンラインストア。「Strange Telephone ダウンロード版」の販売ページ。マイニンテンドーストアではNintendo Switch(スイッチ)やゲームソフト、ストア限定、オリジナルの商品を販売しています。


・タイトル:Strange Telephone
・発売元:PLAYISM
・開発元:HZ3 Software
・対応ハード:
スマホ(Android/iOS)/PC(Steam/Humble)/Switch
・定価:
-Android版:490円(税込)
-iOS版:600円(税込)
-PC版:498円(税込)
-Switch版:980円(税込)
・発売日:
-スマホ版:2017年1月26日
-PC版:2019年1月21日
-Switch版:2019年11月7日
・ジャンル:
ワールド自動生成型脱出アドベンチャーゲーム
・CERO:A(全年齢対象)
・プレイ人数:1人
・権利表記:
©HZ3 Software All rights reserved. Licensed to and published by Active Gaming Media, Inc.
・公式サイト:
https://hz3software.com/st/
どういう人にオススメ?
・謎に満ちた世界を冒険してみたい人!
良かった点
・どの電話番号にかけても世界が生成される
・ドット絵で描かれた世界が不気味だけどノスタルジック
・オブジェクトに対してアイテムを使った時の反応が結構豊か
賛否両論?点
・ほとんどの世界が似通っているため探索面での飽きは早い
・使用するアイテムと反応するオブジェクトの相関性が分かりにくく総当りになりがち
・電話番号である意味があまり無いように感じる
備考
(当ブログの画像はSwitch本体の機能を用いて撮影)
・発売元:PLAYISM
・開発元:HZ3 Software
・対応ハード:
スマホ(Android/iOS)/PC(Steam/Humble)/Switch
・定価:
-Android版:490円(税込)
-iOS版:600円(税込)
-PC版:498円(税込)
-Switch版:980円(税込)
・発売日:
-スマホ版:2017年1月26日
-PC版:2019年1月21日
-Switch版:2019年11月7日
・ジャンル:
ワールド自動生成型脱出アドベンチャーゲーム
・CERO:A(全年齢対象)
・プレイ人数:1人
・権利表記:
©HZ3 Software All rights reserved. Licensed to and published by Active Gaming Media, Inc.
・公式サイト:
https://hz3software.com/st/
どういう人にオススメ?
・謎に満ちた世界を冒険してみたい人!
良かった点
・どの電話番号にかけても世界が生成される
・ドット絵で描かれた世界が不気味だけどノスタルジック
・オブジェクトに対してアイテムを使った時の反応が結構豊か
賛否両論?点
・ほとんどの世界が似通っているため探索面での飽きは早い
・使用するアイテムと反応するオブジェクトの相関性が分かりにくく総当りになりがち
・電話番号である意味があまり無いように感じる
備考
(当ブログの画像はSwitch本体の機能を用いて撮影)
異世界に繋がる不思議な電話

主人公のジルが目覚めたのは謎の空間。そこには電話型謎生物のグラハムもいて、理由はわかりませんがジルに寄り添ってくれます。
この謎の空間(Core)には大きな扉と「太陽のランタン」というアイテムと電話帳が置かれているのみ。アイテムやオブジェクトは近づいてAボタンを押すと拾ったり調べたりすることができて、Lボタンを押すと手持ちのアイテムを使うことができます。
電話帳には最初から「#612*5」という番号が記載済み。他のヒントも見当たらないのでとりあえずこの番号に電話をかけてみると、不思議なことに別の世界へワープしてしまいました。
ワープしたといっても、別世界にいられるのは受話器を持っている間のみで電話を切るとCoreへ戻ってきてしまいます。しかも飛ばされる先の世界は不安定なためずっとは滞在できません。
#612*5の世界にいたぼっちという名の謎存在(幽霊?)に話しかけるとまた別の番号を教えてくれました。教えてもらった番号を入力し再度トリップした先で「サーチデバイス」を入手。
動線はここまでで途切れます。この先は適当な電話番号にかけまくって、その先に何かオブジェクトがないか・拾えるものがないかを探し回ることになります。
電話の使い方についても説明すると、Rボタンを押すとダイヤル画面が開き・数字を6つ入力した後にLボタンを押すと別世界へ飛ばされます。タッチ操作にも対応していて押した時のピポポ音が凄く電話でちょっと感動。

サーチデバイスを拾っていれば、左上のディスプレイにて飛んだ先の世界にあるオブジェクトを予め確認できます。?と表示される時は未確認の物があるかもなので、とりあえず飛んでみるのがオススメ。
デタラメに番号を入れてもどこかしらには飛んでいけます。生成されうる世界は12^6=2985984にも及ぶため1人で全てを調べ切るのはほぼ不可能ですが、別のセーブデータでも番号が同じであれば同じ形の世界が出現するので他プレイヤーとの情報の共有は可能です。




お菓子でできた「DonutsIsland」、家の中のような「WoodenHouse」、ススキとタケノコが生えている「Moon」、ロケットが置かれている「MysteriousHill」…など、辿り着く先はこれまた奇妙な空間ばかり。ちなみに太陽のランタンを持っていない状態だと酷いノイズがかかってしまい周りにあるものを調べられません。
これらの世界にはオブジェクトやキャラクターが最低1つは存在していて、一度調べたものはXで開くメニュー>書庫に登録されます。書庫で読める情報にちょっとした攻略が書かれている事も。
300万近くもの世界が存在するなら多種多様な景色が見れそうだと思う所ですが、実際には10種類ぐらいのパターンに分けられて同系統の世界同士の差はエフェクト・オブジェクト・アイテムの有無や数が少し変わる程度の違いに留まります。一通りの生成パターンを確認するまでは1時間もかからず、後は見覚えのある景色ばかり出てくるようになるので、探索面での飽きは思っていたよりも早く来てしまいました。
全ての番号を確認したわけではないのでハッキリとは言い切れないのですが、その世界にしか存在しないオブジェクト有の特殊な世界というのはネット上の情報を集めても10個程度しか見つけられず。その特殊な世界もオブジェクトにインタラクトすることで番号を介さずに飛ぶいわゆる番外が多かったので、特定の番号を入れることでしか辿り着けない特殊な世界というのがもう少し欲しかったと正直思いました。
1つ1つの世界はかなり狭く端まで歩くと自動的に連番の世界へと移動します。000000⇔000001⇔000002…みたいな感じで繋がっていて、電話をかけて直接飛ぶ以外に歩き回っての探索も可能です。
ただし電話を切らずにずっと異世界に滞在し続けると、左上に表示されている数字が増えていって5になると強制的にBAD ENDになってしまいます。そのため定期的に探索を切り上げてCoreまで戻ってこないといけません。
また、一部の世界にはディスコネクトという死神のような姿をした敵対キャラがいて鎌で切られると一撃でBAD END行き。ここで挙げた2つのEDはロードすれば直前からやり直せるので、実際には単なるゲームオーバーです。
どの世界も不気味な雰囲気こそ漂っていますが、ディスコネクト以外のキャラクターが攻撃を仕掛けてくることはありません。見た目が怖くても調べてみるとアイテムをくれたり無害だったりで意外と危険性は少なめ。
レトロなドット絵とピコピコな電子音楽も得体の知れなさをプラスしているエッセンスになっています。不気味で奇抜だけどちょっと懐かしさも感じる低解像度の世界は本作一番の魅力です。
設定にはブラウン管モードなるものもあって、オンにすると古いテレビに映したかのように画面がぼやけます。今となってはブラウン管テレビの存在自体を知らない人も結構いそう?ですが、懐かしいと感じる人も私含めて少なくないはず。
一見繋がりのなさそうな不気味な世界を渡り歩く所は『LSD』に、風変わりなキャラクターが多数いる所やナタでNPCを攻撃することができる所は『ゆめにっき』(あっちは包丁だけど)からインスピレーションを受けているように感じました。グラハムの受話器を取っている間は「深い夢の中にいる感覚」らしいので夢の中を歩き回るゲームとの共通点があるのは何ら不思議な事ではないのかも。
ストーリーについては断片的かつ曖昧な形でしか語られず推測の余地がとにかく巨大。上で挙げた2作と違うのは陰鬱さやグロテスクさがほとんど無い事で、本作のはなんというか…謎の中に懐かしさと切なさが混ざったような…ぼんやりとしか覚えていない思い出のような…哀の中の暖かい寄りな感情が含まれている印象でした。
Coreからの脱出には扉を開ける「鍵」が必要。その鍵を入手するにあたって奇妙な世界群でアイテムを見つける必要があるというわけです。
Aを手に入れてある場所で使うとBが手に入り、さらにBをあるキャラクターの前で使うとCが手に入る…と言った感じで必要なアイテムが連鎖反応的に手に入る形式。しかし、本作は見た目で使い道が想像しにくいアイテムが結構ある上に組み合わせた結果起こる現象についても予測困難なものが多く、最終的には総当りせざるを得なくなります。
ジョウロなど序盤から手に入れやすいアイテムは使い道もわかりやすくなっていますが、いくつかのイベントを経て入手できる「青の結晶」や「創生の石」などは使う場面をイメージしにくい難儀なアイテム。名前から何となく重要そうということしか分からず、適当なオブジェクトを見つけ次第使っていくことになりました。
意味ありそうで特に何も無いオブジェクトやキャラクターといったブラフが多く存在しているのも困った所。遠くを見つめる背の高いキャラやマークが変わる標識など、意味深なようで謎解きには関わってこないオブジェクトというのが結構な数あって総当りする場合に時間を取られがちでもあります。
ナタを標識に対して振り回すと弾かれたりと、アイテムを特定のオブジェクトに対して使用した時の反応が地味に細かいのは良点でもあるのですが、その反応にひっかけられてしまう事もありました。青の結晶を焚き火に入れると青くなるのには何か意味があるのかもと思ったのに結局何もなかったり…。
ある世界でイベントを起こすと別の世界で何かが起こるといった遠隔スイッチパターンも結構あって、どこがどう変わったかをハッキリとは教えてくれないのも相まって変化した場所を探しに歩き回る時間というのも長くなりがち。適当に歩き回るだけだと変化した世界が運次第で中々出てこなくてさらに苦労するので、事前に各オブジェクトが存在する世界を電話帳に最低1つは登録しておくと捗ります。
公式サイトの「SNSなどで他のプレーヤーとの電話番号の共有することも可能です」という文章から1人で全EDや小ネタを見つける前提では作られていないゲームだと察してはいたので、7個ほどエンディングを回収した時点でネット上の攻略情報を解禁させていただきました。おそらく自力では気づけなかったであろう仕掛けやそもそもゲームの外にしかヒントがないエンディングもあったので、結果的にはこの判断は正解だったと思っております。
エンディングは11種類存在しています。実は扉から脱走するEDは4分の1ぐらいしかなく、脱出自体はできていないEDの方が多いです。
残念と思った所はもう1つあって、それは異世界への移動手段が電話である意味を感じ取る事ができなかったこと。現実の電話番号は繋がる相手が違っていて全部が意味を持つ番号であるので、別の番号にも関わらず似たような世界が出てくる本作の仕様とは合致しないように思えてしまいました。
特定の番号を入れないと行くことができない世界がもっと多く存在しているか、特定の電話番号のみしか繋がらない代わりに全ての世界が全く違うものであれば電話番号らしさというのを感じられたのかも…と色々考える所です。ジャンルは違いますが入力した電話番号で出現ステージが変わるという似たシステムを搭載しているゲームに『モナーク』という作品がありまして、そちらも適当な番号を入れると汎用マップに繋がる方式ではあったものの攻略上で意味のある番号というのも結構な数存在していたので、本作にも意味のある番号がもっと欲しかった感じ。
また勝手ながら、私が期待していたゲーム性というのが本作のシステムとは違っていた事も微妙と感じた理由の1つだと思います。私が期待していたのは隠されている番号を見つけて先の世界に進むというもの、もしくは数値問題から番号を推測するといった論理的な謎解きでしたので…。
最序盤のサーチデバイスを手に入れる所まではそれっぽくて本当にワクワクしていました。その期待の反動もあって、後のオブジェクトを探して彷徨うMinecraftの遠征のような時間が大部分を占めていたのに落胆の気持ちが湧いてしまいました。
一応ストーリー的には電話である意味が何かありそうな感じもしなくもないので詳しく知れたら印象もまた変わりそうではあるのですが、物語を読み解くヒントらしきものが軒並み抽象的であるため情報を整理すること自体が困難を極めています。Switch版のゲームニュースに開発者コメントが載っていて「実は直接的には明かすことのない“隠されたストーリー”を元にこのゲームをデザイン・構築しました。全11種あるエンディングムービーやキャラクター、オブジェクトのデザインなど、随所にその隠されたストーリーを解き明かす謎が仕込んであります」と書かれていたのですが、私の理解力と想像力の不足のせいもあって読み解くまでには至れず考察らしい考察もほとんどできませんでした…。
私が考えられたのは“ノスタルジー”が本作のテーマの一つにはなっていそうという事ぐらい。ドット絵やブラウン管モードの存在に加えて、グラハムがスマホではなく昔懐かしのダイアル式電話に近い姿をしていたり・オブジェクトとして出てくるポストも筒型の旧式ポストだったりと、現実では新型に置き換えられているものであっても本作の中では昔懐かしの姿で出てくることが多いのがそう思った理由です。
ちなみに本作のゲームニュースには、他にもとあるエンディングに行くための番号や特殊な部屋に行くための番号など超重要なヒントが書かれているので、Switch版を購入した人は一度目を通すことを強く推奨します。ゲームの外にヒントがあるというのは面白い試み…だとは思うのですが、せっかく用意されているエンディングを見つけられない人が出てきてしまうと勿体ないのでゲームの中にも何かしらの手がかりがあると良かったかも。
総評:さまよう少女と電話の奇妙な脱出アドベンチャー、個性的だが間違いなく人を選ぶ作風
電話をかけると飛ばされる謎世界でアイテムを集めていく、不気味で不思議な脱出ゲーム風味のアドベンチャー。謎解きよりも雰囲気を楽しむのがメインで、その雰囲気も不気味で明かされない謎も多いためかなり人を選ぶ作品という感想です。奇妙な世界らしくアイテムの使い方からして理解できないものが多く最終的には総当りする羽目になってしまうのは難点。世界観も謎が多くて推測することすら困難を極めています。
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