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【Switch/Steam】『すみれの空』を遊んだ感想&レビュー【クリア済】

2022/06/11
ゲーム感想&レビュー 0
Switchソフト Steamゲーム PCゲーム アドベンチャー
『すみれの空』を購入しました。

絵本のようなグラフィックに惹かれて買ったアドベンチャーゲーム。タイトル画面のすみれ色の空が素敵。
本作もe-shopでセールしているのが目に入って購入に至りました。もうセールは終了してしまいましたが定価も990円と高くないので気になる方は是非。
物語を読むのがメインのゲームですが、1周にかかる時間は長くて2時間ぐらい。エンド回収のためにとりあえず2周しました。

・タイトル:すみれの空
・発売元:GameTomo
・開発元:GameTomo
・対応ハード:Switch/PC(Steam)
・定価:
-Switch版:990円(税込)
-Steam版:1010円(税込)
・発売日:2021年5月27日
・ジャンル:アドベンチャー
・CERO:A(全年齢対象)
・プレイ人数:1人
・権利表記:
© 2021, GameTomo Co., Ltd. All rights reserved.

どういう人にオススメ?
・1人の少女として1日を過ごしたい人!
・選択肢のあるアドベンチャーゲームが好きな人!

良かった点
・絵本のようなビジュアルが可愛い
・選択肢を自分で選ぶことができる上に善行と悪行の割合に応じてエンディングが変化する
・ミニゲームも挟まるが成否自体はゲーム進行には影響しないか成功するまでやり直せる

賛否両論?点
・オートセーブなので選択を間違えたと思っても取り返しがつかない
・(ゲーム内時間で)1日のみのお話ということで短い
・中盤辺りでホラー描写がガッツリ出てくる

備考
(当ブログの画像はSwitch本体の機能を用いて撮影)




お花の妖精と一緒にとびっきりの一日を過ごそう


主人公はスミレという名前の女の子。おばあちゃんっ子だったみたいですが、ゲーム開始時点で既に大好きだったおばあちゃんが亡くなってしまっている上に、両親の仲も冷えきってしまっていたり・幼なじみが陰湿にいじめてきたり・好きだった男の子が転校することになってしまったり…という中々にお辛い状況。
そんなスミレの所に金色のタネが窓を突き破って落ちてきます。タネを鉢植えに植えるとたちまち育ち、喋る花が咲いて「とびっきりの一日を見せてくれたらおばあちゃんに合わせてあげる」という何ともファンタジーなことを言い出します。
ということで、本作の目的はおばあちゃんに会わせてもらうためにお花と一緒にとびっきりの1日を過ごすことです。わずか1日、されど1日、小学生のスミレにとっては色々冒険できてしまう程に長い時間&お花にとっては寿命までのリミットになっています。
初めてお花に会った時はUndertaleのフラウィーが頭を過ぎったのもあって警戒してしまいましたが、スミレちゃんには終始友好的な態度で接してくれたいい花だったので疑ってしまったのが申し訳なくなりました。むしろスミレちゃんの味方すぎて危険な存在だったけど…

ゲームとしての内容は、色んな所に出かけてスミレ自身が決めた目標を達成していくというものになっています。とびっきりの一日にするためにかなり予定を詰め込んでおり、メインイベントもサブイベントもたくさん用意されています。
目標の中には「好きだった同級生に告白する」「いじめっ子になってしまった幼なじみと仲直りする」「パパとママに気持ちを伝える」など、子どもらしい内容ではあるものの中々に勇気がいるものもあります。たった1日で全部やり切るのは大変そうですが、お花の応援をバックにスミレちゃんは頑張ります。
1日というタイムリミットが提示されるものの、ゲーム内の時刻はプレイ時間や行動回数によって経過するのではなくメインストーリーの進行に沿って進んでいく仕様。なので焦る必要もないし探索やおつかいなど寄り道しまくっても大丈夫。
絵本のようなビジュアルで完全2Dのプラットフォームなゲームにも一見見えますが、実は奥行きも少しあって見た目以上に探索範囲は広め。道には調べられるオブジェクトがあったり・お店で使えるコインが落ちていたりもするので探索するメリットがちゃんとあります。
絵本っぽいといえば、序盤の方で開けっ放しの水道から水が出ている所に「ザ~」と文字で音が表現されていたりする所もそれっぽい。この表現がなんか可愛らしくて好き。
出かけられる範囲自体もスミレちゃんが小学生であることと1日しかないことを考えるとかなり広め。バスで行くような離れた温泉街まで出かけられたりもするので、本当にちょっとした冒険です。
おつかいを受けると少し離れた場所へ行き来することもありますが、ファストトラベルもできて移動が快適なのも良点。まさかお花が直接スミレちゃんを持ち上げて飛んでいくとは思わなかったけど…。

選択肢次第で良い事も悪い事もできてしまう


人以外にもどういうわけか猫やカラスなどの動物やカカシなどの無機物とも会話ができるようになっていて、彼らの悩みを解決してあげることもできます。無視したり非道な対応もできちゃいますが…。
お悩み解決のためにやることはおつかいらしいおつかいで、鈴のような花を欲しがっている猫にすずらんを探してきてあげたり・カラスからの悪口に参っているカカシのために褒め言葉をかけて応援したりカッコイイ帽子を持ってきてあげたり・文具屋のお婆さんの手紙を温泉街にいるお茶屋のお爺さんに届けてあげたり…などなど。
どの悩みも片手間で終えられますし、依頼人達の意志や思いがこもっているので受けていて楽しいタイプ。個人的には競争しているうさぎとかめの話&お茶屋のおじいさんと文具屋のおばあさんの話が好き。
選択肢の答えや行動に応じてスミレのカルマが上下するシステムがあり、いい子として過ごすのも・悪い子として過ごすのも自由。最終的なカルマ値に応じてエンディングまで変わります。
悪い方の選択肢を選ぶと無理やり矯正されてペナルティを受けるだけのゲームも決して少なくないこの頃ですが、本作は選択肢でイベントが分岐したりフラグが立ったり折れたりする場面が多く自分で選択していると感じられる所が強くて好きです。
ただし、選択をやり直したいと思ってもオートセーブされてしまうので後戻りはできません。保存できるセーブデータの数も1つだけでわけわけ作戦もできないので、もう1つの結末を見たければ最初からやり直すしかないです。
でもロードでやり直せない仕様は選択肢の重みが増えるという意味では良いと思いますし、リアリティのある緊張感も染み出していてGood。1周にかかる時間が2~3時間と短いのもあって全然許容できます。
ただちょっとだけ、やり直しが大変な仕様とチャレンジという実績機能との相性が悪いかも?とは思いました。「全おつかいを解決してエンディングに到達する」というチャレンジも存在するのですが、道中の正解を全て覚えておかないといけないし・チャレンジのためだけにやり直すのもストーリーを全て見てしまった後だと少し面倒に感じなくもないです。

メインストーリーの途中やおつかいでミニゲームをやることになる場面もあるのですが、そのミニゲームがクリアできたか否かでストーリーが分岐することはないみたいで、失敗しても問題なく進んだり・クリアできるまで何回もやり直せたり・失敗しまくるとスキップもできるようになるので安心。
ミニゲームの中には凝ったものもあって、特にぽっちゃりオタクな同級生が考えたカードゲームがお気に入り。相手の攻撃を反射したり・お互いに回復したり・お互いにダメージを増やしたり…と特殊な効果をもつカードの種類も多く、勝っても負けても楽しかったです。
エンディングまでにかかる時間は2時間程度と短いものの、ゲーム内でも1日しか経過しないので妥当かなとは思います。イベントの数も多いので結構充実してますし、短い時間でしっかり楽しめる作りになっています。

ちょっぴりホラーな展開も…


パッと見では恐怖とは縁がなさそうにも思える本作ですが、どういうわけか中盤に恐怖シーンてんこ盛りのイベントが突如挟まります。そのシーンだけ切り取って知らない人に見せたらホラーゲームに間違われるぐらいにはホラー。
PVに片鱗を感じさせるシーンが映ってたりするので事前情報が全くないわけではないのですが、動画は見ずにスクリーンショットだけ見て購入した人なんかは可愛い世界が急に不気味になって驚いたかもしれません。
大きな音などで脅かしてくる感じの恐怖ではないのですが、暗い廃墟を探索したり・少し不気味でサイコな心象世界を探索したりもするので探索系のホラーゲームにアレルギーを持っている人にはしんどいかも。
ちなみに、このホラー風味イベントはストーリーを進める上で必ず起こさないといけないイベントなので避けられません。元幼なじみ兼現いじめっ子のチエを初めとする意地悪3人組に囲まれた時に「チエを痛い目に合わせる?」なんていう明らかにヤバい質問が出てきてこれがトリガーになっているのですが、ここは「うん、これが私の怒り!」を選ばないと話が進まないようになっています(もう1つの選択肢を選ぶとループし続けます)。
1週目はいい子ちゃんプレイでやってたので、平和的な解決法が何かあるはずだ…と思って10回ぐらい我慢する方を押し続けましたがダメでした。他の質問は選択肢でしっかり分岐するのに、ここだけは強制的に片方を選ばされるのが腑に落ちませんでした…。
チエもチエでスミレのおばあちゃんを妖怪呼ばわりするようなクソガキなので本音ではひどい目にあって欲しいと思っていましたが、怖いのが苦手な人向けにホラーイベント一切無しで平和に解決するルートがあっても良かった気はします。
中盤以外は普通に日常している場面ばかりで影を感じても視覚的に怖いわけではないので、そこだけが明らかに異質だし浮いて見えてしまったのは事実。ほんわか系に見せかけたダークな作品はギャップを感じられてキャッチーではあるし私も好きですが、騙された気持ちになるという人や苦手に思う人も少なくないジャンルなので回避するための行動を取れたら尚良でした。
ただ、そもそもが家庭内不和やいじめを扱っているストーリーなのに加えておつかいでも結構残酷なことができてしまうので、そういうゲームとして作られている感じもしなくもないです。
エグい選択肢の例を挙げると、カカシとの約束を破って無惨になった姿を見に行ったり・虫をプレゼントするよと言ってくれているクモを待ちきれないからとカエルに食べさせようとしたり・嫌がっているホースを無理やり連れて行ったり…etc。
個人的にはここら辺は無邪気な子どもならではの命の軽視や残酷さや浅はかさを感じれる表現になっていて割と好きでしたが、間違いなく人を選ぶ部分だと思います。
後は悪い子プレイで辿り着くエンディングも中々にホラーです。以下黒塗り部分はネタバレなので注意。
おばあちゃんに会えたと思ったらまっくろくろすけになっているし夢ノートも大惨事になっているし…スミレちゃんが直接的に罰を受けたり酷い目に会うわけではないものの、かなりモヤモヤする終わり方になってしまいます。
小並感ですが、やはり悪いことはするものではないなぁ…と思いました。


お花もスミレちゃんが道を外しそうになったら止めてくれたらいいのに…と少し思いましたが、よく考えるとお花はスミレちゃんの背中を押すだけで良い事だろうが悪い事だろうが「やれ」としか言っていないことに気づいてしまいました…。チエ達をひどい目に会わせているのがお花なのもきな臭い所…。
お花の正体ってなんなんだろうな…とちょっと思ったりも。別の世界からやってきた花の精霊とは言っていた気はしますが、それは嘘で本当はスミレちゃんの別人格とかだったりして…。
途中で邪魔してくるカラス達が言っていたことも意味深ではあったのですが最後までよくわからなかったな…と振り返ってみて思いました。お花やスミレに対して当たりが強かった理由も詳しくはわからず終いだったし、ミニゲームがめんどくさかったぐらいの存在だった気もします。
急にスミレが動物たちと会話できるようになった理由も明かされないので謎が結構残るゲームだとは思います。考察の余地の為にあえて語ってないのか・単に明かすのを忘れてたのかどちらかわかりませんが、小骨が引っかかっているような所が多いのでもう少しヒントが欲しかったです。
動物達と話せるようになったのは魔法の力です!やりたいことができた!幸せ!だったらそれはそれで普通に泣けるファンタジー作品なのでアリなのですが、カラス達のセリフやチエ達を制裁する部分など道中に不穏さを感させる所がチラホラあったせいで感動できる場面にも裏がありそうに感じてしまうのがちょいモヤポイント
私が考えすぎなのかもしれませんが、感動物とほんのりダーク物の両立は中々に難しいのかも?とは思いました。



総評:ダークだけれども暖かい所もある、高年齢向け絵本のようなアドベンチャーゲーム

闇が濃くて優しいだけの物語ではないので人を選ぶ作品だとは思いますが、絵本のようなビジュアルと少しファンタジーな世界観が素敵な作品。
大人になると1日なんてすぐ過ぎるし何もできない…なんて思うようになってしまうのですが、小学生のスミレちゃんから見ると冒険もできちゃう程には長くて感じているんだろうなーと、ちょっと羨ましくも思ってしまいました。
自分で選択肢を選べるというゲームならではの強みもしっかり活かしており、一本道のストーリーではなく良い子プレイも悪い子プレイもできて行き着く先も変わる所が何よりも好き。
でもストーリーに不満が無いわけでは無くて、急に動物や無機物と話せるようになった理由やカラスのセリフの意味などをちゃんと明かして欲しかったな…とは思いました。途中の恐怖シーンのせいで良い子ルートの感動シーンすら不穏に思えて素直に泣けなかったのには少しモヤモヤ。
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